茶道では、本来11月から4月までは「炉」の季節といって、畳とその下の床を
四角に切って、炉ダンを据え付け、その中に灰と炭と五徳を入れて、
釜をかけます。
寒い季節はその方が暖も取れて、客が少しでも温かいようにということで
この約束事ができたようです。
しかし、畳に炉を切って茶事をできるようにするには、大がかりな工事が必要に
なります。
また、床下や様々な事情があって、炉を切れない方もいらっしゃると思います。
そこで、工事をする必要がなくて、持ち運びが出来、気軽に湯を沸かせるとても
便利なものが「置炉」というものです。
文字通り、炉を床に置いて使うものです。
畳の中に釜は入りませんが、同じようにお茶を点てるお手前ができます。
灰と炭と五徳を入れ、釜を据えて湯を沸かすことが出来ます。
炭など火の取り扱いが心配な方は、炭と灰の代わりに、電熱器を炉ダンの中に
入れて安全に湯を沸かすことが可能です。
内側は軽量で耐火性抜群の銅板で出来ており、灰などを出しやすいよう
取り外し自由になっています。
また、外側にも持ち運びがしやすいよう、両サイドも持ち手が作られています。
また、銅板には電熱器を使ったときにコードを出せるよう、穴があけてあり
灰の場合は栓をして使えるようになっています。
茶道をされていない方でも、部屋の片隅に置いて、暖を取ったり、鉄瓶ややかん
で湯を沸かしたり、金網があればイカやスルメ、もちなどを焼いて、
つまんだり、場合によってはお酒をかんすることもできます。
本来は茶道で使うものですが、普通のご家庭では、昔どこの家庭にもあった火鉢
に近いような形で、古き良き時代の日本の文化を味わうこともできます。
正式な茶を点てる場合も、普段の生活に沿った気楽な使い方をする場合でも
どちらでも使うことができる、日本人の昔からの知恵が詰まった逸品です。