土井義峰 作の天川(あまかわ)香合のご紹介です。
天川とは、中国広東省マカオをその昔日本では、「天川」といい
同港から舶載された漆器も「天川」と呼ばれました。
その中で最も優れていた香合の一つを写して作られたのがこの香合です。
何かの寺院など建物のような外観で、屋根のようなひさしのある上面に
彫りがあり、側面には雷紋と思われる彫が細かく彫られています。
下地に黒漆、上塗りに朱漆を塗って研ぎ出してあり
紀州の根来塗のような技法で作られています。
内側と底面は茶色のうるしが塗られており、独特の雰囲気があります。
異国の風情が感じられる珍しい造形の香合と言えます。
彫は異なりますが、17世紀(清の時代)に作られた天川香合は
北村美術館におさめられています。