高岡銅器から、金森彦兵衛 作の喚鐘(かんしょう)のご紹介です。
喚鐘とは、青銅製の小さな釣鐘で、茶席の準備が整い
客の入席を請う時に、その合図として打ちます。
付属の撞木(しゅもく)という専用のもので鐘を打ちます。
打つ位置は太鼓のような部分が二か所前後にあります。
この喚鐘は、「砂張」といって銅を主として錫・鉛(銀)を加えた合金で
できており、響銅ともいいます。
奈良時代の文献には「佐波理」とあり、正倉院の御物の中に
水注・合子などがあります。
桃山時代以降、茶人間で花入・水指・建水などに用いられ
特に花入れは有名なものが多く出ていますし、
砂張水指は紹鷗名物として知られ、紹鷗棚に用いられています。
慶長年間、前田利長公が高岡に居城の折、河内の国丹南郡より
七人の鋳物師を招いて、土地を与えて移住させた者のうち
釜屋彦兵衛の末裔が、当代の彦兵衛となります。
少し高めのいい音色が特徴ですが、よく響いて余韻が残ります。
よく計算されて作られているように感じます。
喚鐘の上部、鐘を釣る部分は、獅子が形作られています。