膳所焼の抹茶茶碗のご紹介です。
膳所焼とは、近江国膳所(大津市膳所)付近のやきものをいいます。
瀬田焼の名で元和(1615年~1624年)頃に起こったらしいとのことです。
当時、小堀遠州は近江奉行でした。
元和7年に膳所城主となって、瀬田も領した菅沼定芳は小堀遠州と交遊のある
数寄者であり、寛永11年にこれに代わった石川忠総は、小堀遠州の弟子で
あったことから、遠州の指導が考えられます。
こうした経緯で、膳所焼の名前が知られるようになったことが予想されます。
茶碗の外側は色絵の菖蒲が描かれていて、青 白 紫 黄 緑 金など
多くの色が使われています。
茶碗の内側は、黒褐色の釉薬に金色で菖蒲が描かれています。
外側と内側はイメージが全く異なり、外側の色彩豊かな表情を見せ
内側はシックで豪華な表情となっています。
異なる2種類のイメージが、一つの抹茶碗に混在する、珍しく
面白いお茶椀となっております。
形はどちらかというと、切立ち型になっており、胴が若干締まっていて
手にしっくりと馴染み、飲みやすい抹茶碗です。
どちらというと、薄つくりで、見た目よりも軽くて、扱いやすくなっています。