山中塗から木製の莨(たばこ)入 (小物入)のご紹介です。
蓋も身もすべて一片の木をくりぬいて作られています。
塗りは根来塗といって、紀州の根来寺の僧徒によって
お膳や椀などの日用品が作られ、これが根来塗と呼ばれました。
根来塗は下地に黒いうるし 上に赤い漆が塗られており
使って摩耗して、朱の漆が剥げてきても下地の黒がみえるだけで
また、それが景色となって 独特の雰囲気が出て参ります。
この莨入(小物入)は摘みの近辺と蓋と身の境目の部分が
研ぎ出されて、下地の黒色が見えています。
形は瓢(ひさご)型で瓢箪(ひょうたん)の形を模して作られており
縁起のいい形状となっています。
内側は身も蓋も千筋といって筋状の文様が付けられており
熟練の高い技術と多くの手間がかけられています。
本来は、きざみ莨を入れて、茶道の莨盆の中に入れておく器ですが
小物入れとしてお使い頂くことも出来ます。
小さくても、職人さんの技が凝縮された逸品です。