山中塗から木製くりぬきの茶托兼、銘々皿のご紹介です。

一片の木をくり抜いて形を作り、その後表面をはつって、柄を彫ったり

筋などを付けていきます。

表面は菊の花びらをイメージした彫がなされています。

器の縁は菊の花びらに応じて、切込みが入れられており

とても細かい所まで、手が入っています。

また、裏面は線筋といって細かい筋が同心円状に入れられています。

表も裏も縁にも、とても手の込んだ仕事がなされております。

また、うるしを何度も塗り重ねることで、耐久性を高め、風合いも

独特な良さが出てきます。

「時代塗」といって、いかにも使い込んだような、侘びた感じの塗りが

されています。

最初から、こうした「時代塗」がされていると、古くなっても変わらぬ

見た目がずっと維持されるので、永くお使い頂けます。

また、実際に使い込んで頂くと、いい味わいが出てきます。

見た目の重厚感とは異なり、薄く挽かれているので、とても軽く

持つだけで、見た目とのギャップと共に、いいものであることが

実感できそうです。

品名は茶托兼、銘々皿となっていますが、径が大きいため

かなり大きめの、ゆったり碗のような湯呑か、コーヒー碗や

鉢類の受皿としての方が、活躍できそうです。

または、銘々皿や取り皿のような使い方が合うかもしれません。

この漆器には、素晴らしく高い技術と、大変な手間が投入されており

大変価値ある逸品といえます。

何十年にもわたって、使える、価値が風化しない逸品です。