信楽の名物茶碗である、「花橘」を写して作られた
抹茶碗のご紹介です。
もとは小堀遠州所持で「昔をば花橘のなかりせば何につけてか
思ひいでまし」と書き付けています。
小堀遠州所持以後の伝来は不詳ですが、明治に入って
赤星弥之助が所持上野与吉を経て、藤田家に入ったようです。
本歌は薄作りで筆洗形、外部はろくろ目が細かくめぐり、
高台は四角で三方切割り、青釉のなだれが3筋あり、
見事な釉溜まりとなっています。
内側のビードロ釉は厚く、光沢があります。
本歌をできる限り再現しておりますが、若干の差異は
あると思われます。
400年以上前に、こうした珍しい茶碗が考案されて作られ、
実際に使われ現代に伝わっていることは素晴らしいことです。
珍しい茶碗を見ながら、小堀遠州の気持ちになって
お茶を頂いたり話題に出して会話をすることも
一興ではないでしょうか。