龍喜窯から茄子茶入のご紹介です。
茄子茶入とは、濃茶を入れる茶入の形状の一種で、唐物茶入の形を基本として
やや下膨らの丸型で茄子の形に似ているので、この名前があります。
古来から茶入の中で、この茄子型を最上位とし真の点前などでも用いられます。
その中でも特に有名なものにこの「国司茄子」(こくしなす)があります。
この大名物 漢作唐物茄子茶入は伊勢の国司北畠氏が所持したので、この名前があります。
その後、若狭屋宗可に伝わり、松花堂昭乗に渡り八幡名物の筆頭とされました。
それからの伝来は不明ですが、幕末に大阪の道具屋勝兵衛が入手し
明治4年に旧若狭小兵侯酒井家へ入り、現在は藤田美術館蔵となっています。
やや尻張の理想的な茄子型で、容姿・品格とも同類中の傑作です。
総体に黒飴釉が艶高くかかり、その上に青白い釉が口縁から両面に流れて
景色を作っています。
この「国司茄子」を龍喜窯が写して作っています。
仕服は名物裂で「国司間道」(こくしかんどう)が付いています。
この裂地は聖一国師円爾弁円が宋から持ち帰った袈裟裂だと言われています。
本来の大名物「国司茄子茶入」に添う仕服の一つにこの裂地が用いられていることから
この名前が付いたと考えられます。