美濃焼から黒織部の抹茶碗のご紹介です。
黒織部とは織部焼の一種で、元は慶長年間に
古田織部の好みにより、美濃元屋敷・
弥七田窯で創製された一種の
「引出黒」です。
「引出黒」とは瀬戸・美濃地方の天目釉の
末期に起こった黒色陶のことで、瀬戸黒・
織部黒・黒織部などのことを指します。
焼成中に、窯の中から鉄鋏などで引き出す
ことからこの名前があります。
ほとんどの場合、器に鉄鋏の跡があります。
黒織部は沓型の茶碗がほとんどで、黒釉の
一部に窓を開け鉄釉で素朴な絵模様を
描き込んだり、ヘラなどで彫り文が
加えられたものがあります。
沓型とは、口作りは玉縁で、不規則な
楕円形をなし下部にくびれがある、鉢や
茶碗などをいいます。
この黒織部の抹茶碗も、ろくろで挽いた後、
変形され楕円形で味のある抹茶碗と
なっています。
底は平らで側面は切立で外側にろくろ目が
残されています。
口作りは玉縁で厚みと幅があり力強い風合い
となっています。
正面には、えくぼのようなへこみが付けられ
鉄絵が描かれています。