菰山窯 宮田豊山 作の細水指のご紹介です。
こうした普通の水指よりも細長い水指を「細水指」と呼び、
「中置」(なかおき)に用います。
「中置」とは風炉を畳の中央に据えて、お茶を点てることを言います。
10月初旬から炉開き(11月)までに使います。
火気が恋しくなる、この時季は冷気を感じるため、
風炉(火気)を客の方に近づけ、水指を勝手付の方へ遠ざける
心尽くしの扱いとなります。
また、「三島」は元々、高麗の焼物で日本に早くから渡来している
象嵌(ぞうがん)青磁の一種です。
水指の表面に捺形か釘彫りなどをして、そこに白絵の具や化粧土を
埋め込んで(象嵌して)焼いて作られています。
三島の名称は、こうした文様が、昔静岡県の三島大社より頒布していた
暦に類似していることから、名付けられたと言われています。
この水指も外側は全面に、印花紋や線紋が彫られ、化粧土が象嵌されており
大変な手間と技術がかけられています。
持ってみると、大変軽く薄造りされており、これもろくろの技術が
高いことが分かると同時に、扱いやすくなっています。
形も底へ行くほど、緩やかに窄まっている美しい形をしています。
他の道具にも合わせやすい色合いとなっています。