菊池正直 作の釜釻(かまかん)のご紹介です。
釜釻とは茶釜を上げ下ろしや移動するのに用いる金属製の輪のことで
一端が切れていて、釜の釻付の穴に通るようになっています。
原則として鉄製のものが多いですが、唐銅のものもあります。
こちらの釜釻は普通の釜釻と異なり、径が大きいものになっており
「大釻」と呼ばれ区別されています。
「大釻」は主として釣釜に用いられ、普通の釜釻とは使い方が異なります。
釣釜は、鎖や自在などで天井から吊るして、炉にかける釜をいいます。
普通の釜釻と違うことは、席中釜を釣っている間は、ずっと釜と一緒に
人目に触れていることです。
この釜釻は釜師 菊池正直の作で釜と同じように、少し茶色がかった色合いになっています。
釻の表面には布目か網目のような部分が所々にあり、一定間隔で細かい彫りも見られ
荒々しく見えるデザイン上の点と、滑り止めの役割の両方を兼ね備えています。
シンプルですが、手間がかかった力強い作風の釜釻といえます。