萩焼 味舌隆司 作の掛け花入れのご紹介です。
掛け花入れとは、垂撥(すいはつ)や茶室の
床柱や壁などに掛ける小ぶりな花入れで、
茶道で使われることが多くなっていますが
一般の家庭などでも、気軽に掛けて
楽しむことが出来ます。
この花入れの後ろ側には、釘にひっかける
金具が付いており垂直面に釘があれば、
何処にでもかけることが出来ます。
金具は花入れの後ろ側に付いているので、
置いた状態で花を生けることも出来ます。
この掛け花入れの形は、蹲(うずくまる)と
いって、人がうずくまっているような
姿であることから、この名前が付きました。
元々、室町時代から作られていた、
農家の豆入れ・種壺・油壺などとして
使われていたものを茶人たちの好みにより、
掛け花入れとして用いるようになり
現在に至っています。
この花入れの特徴は何といっても、
白い「かいらぎ」に尽きます。
「かいらぎ」とは釉薬が縮れて粒状になった
部分をいいます。
「かいらぎ」は本来、刀剣の柄などを飾る
蝶鮫の皮のことで釉薬が縮れて、ざらめいて
荒れた肌が鮫皮に似ているのでこう呼ばれる
ようになりました。
「かいらぎ」は、特に茶道などでは、景色と
して喜ばれます。
土をろくろで挽き、白い釉薬がかけてあり、
釉薬が裂けて下の生地が見えている部分が
何か所もあり、亀裂の入り方が大胆で
力強い印象を受けます。
白釉の表面は艶やかで裏側まで釉薬が
掛かっています。
少しの花で季節を感じさせてくれる侘び茶・
寂びの世界が広がります。
省スペース、少ない花で、独特の世界を
作り出してくれます。