越前塗から木製 高台寺蒔絵の炉縁(ろぶち)のご紹介です。
炉縁とは茶道で使う炉の炭櫃(すびつ)の上にはめる木の枠のことです。
畳に火気が伝わるのを防ぐためと、装飾の意味があります。
炉縁には様々な種類のものがありますが、こうした真塗りのものや
蒔絵を施したものは、主に広間に使われます。
広間は四畳半以上の座敷をいい、小間とは対照的で
小間が「草庵」であるのに対し、広間は「書院」に属します。
広間は書院の作法を原則としますが、草庵の作法を取り入れる試みが
されてきました。
この炉縁は木製の木地に黒うるしを塗り、その上に蒔絵を施していますが
この蒔絵が「高台寺蒔絵」というものです。
豊臣秀吉の菩提を弔うため、慶長十年1605年に秀吉の夫人である北政所が
京都に建立した高台寺霊屋とその調度品に施された蒔絵装飾を「高台寺蒔絵」といい
菊や桐を完全に意匠化・文様化されています。
この炉縁には、その「高台寺蒔絵」を写して蒔絵がなされています。
しっとりとした黒の真塗りとその上の華やかな蒔絵が引き立ち
高級感を感じられるものとなっています。