先回の特集「器と職人」で職人の技術はとても貴重だという 話をしましたが、
今回は将来の伝統工芸を含めた技術について 述べたいと思います。
昨今、大量生産、大量消費、使い捨ての時代と言われ、
海外で作られた安価な器が大量に出回るようになり
高価な日本製の器は、以前よりも買われなくなってきたように思います。
日本の職人が作った商品が売れなくなっているということは
職人さんの仕事が減り、生計が成り立たなくなり、廃業になるケースが出てくるということです。
後継者も成り手がいないことから、貴重な技術は消えつつあります。
毎年、「来年からこれはもうできない」とか「職人さんが廃業して、廃番商品が出た」
というような現象がずっと続いています。
人から人へ何百年も伝承されてきた技術が、なくなっていくのは
日本人としてはとても大きな損失です。
一度なくなった技術は、伝承者がいない限り、二度と復活することはありません。
これは各産地で、同じような現象が起きており、日本独自の職人の技は
確実に消滅しつつあります。
このような状況が続いて、日本特有の職人技術がなくなってしまうと
どうなってしまうのか、とても不安です。
技術がなくなれば、どこの国で作っても同じようなものしか
できなくなり、日本製である理由はなくなってしまいます。
特徴もなければ、感動もないでしょう。
日本の器を作る技術の国際的な競争力は皆無になってしまうということです。