今回は茶道で使われる漆器について、ご説明したいと思います。
漆器の分野は歴史が長いだけに、大変広く様々なものが作られてきました。
日常使いの椀や箸から、作家ものの器まで、今は樹脂製のものも現れています。
その中で茶道で使われる漆器は、かなり専門的で特殊なものがほとんどです。
抹茶を入れる茶器や香を入れる香合、釜の蓋を置く蓋置、炉につかう炉縁や
床の間に飾る花入れなど、茶道にはなくてはならないものです。
茶会で使われる漆器は、茶道専門の作家や職人が手作業で作った、木製にうるしを塗った
漆器の中でも高品質なものが多くなっています。
昔から続く伝統的な技術が使われ、更に作家によってそれぞれ異なる特徴が出されています。
季節によって変化があり、テーマによって多彩で非常に繊細な作品がほとんどです。
何代も何十代も続く作家が、様々な技法を駆使して作った逸品といえます。
漆器は木を加工して作りますが、木を切ってすぐに使えるわけではありません。
木には水分が含まれており、それを乾燥させてから使わないと
製作後に変形したり、割れの原因になります。
通常は数年間乾燥させますが、先日弊社、小林漆陶で個展を行った橋村萬象氏などは
50年近く乾燥させた木を使っています。
樹齢何百年の木を使うことを考えると、300年以上前の木を使って作ったものが
現代に作られていることとなり、気の遠くなるような話になります。
この続きは次回ご説明します。
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