数年前から昔からの慣習を省略する傾向が増えつつあります。

 

私どもは商売がら婚礼や法事など、冠婚葬祭に携わることがあるため

よくわかりますが、婚礼や葬儀など昔は誰もが普通に行っていたことが

劇的に変わりつつあります。

 

これは、恐らく25年以上続く不況の影響が多分にあり、

変化を加速させているような気がします。

 

結婚式も全くしない組が増え、身内だけの家族婚がよく見られるようになりました。

 

また、お葬式も家族葬が増え、法事も最初の数回だけか、全く省略するケースも増えています。

 

実は、数年前に3年間お世話になった先生が亡くなられました。

 

家族葬だったらしく、亡くなった事実を知ったのは、半年後でした。

 

自分にとって人生の一番大切な時に、とてもお世話になった先生の最後は是非見届けたかったです。

 

そして今までのお礼とお別れを一言でいいので、言いたかったです。

 

見送れなかったことがとても残念で、悲しい気分になりました。

 

もちろん故人の遺志は尊重されるべきだと思いますが

恩師として慕っている生徒もたくさんいると思います。

 

それ以来、家族葬や法事の省略、家族婚、婚礼の省略に対して

少し疑問を持つようになりました。

 

自分の家の真ん前の人が亡くなっても、全く知らず

家族葬の翌日に挨拶にみえて初めて知ったというケースもありました。

 

この時も何ともいえない悲しさというか寂しさみたいなものを感じました。

 

結婚式や法事を省略すると、親戚でさえ何年も、何十年も会うことがなく

場合によってはすれ違っても、気付かないということが起きる可能性があります。

 

お葬式はあまり話は出来ませんが、婚礼や法事などは親戚や友人などの

本来一番近い人たちと、ゆっくりと会って話が出来るので

とても大切な機会ではないかと、つくづく思いました。

 

しかもこうした機会は毎年あるわけではありません。

 

数年に一回、お酒を酌み交わし、一緒に食事をすることは

とても有意義なひと時ではないかと思います。

 

人と人とのつながりが希薄になり、希薄な方がいいという風潮がありますが

私個人の意見としては、あまりいいとは、どうしても思えません。

 

最後は人と人との関係で、世の中が成り立っていると思うからです。