膳所焼の染付の火入れのご紹介です。
火入れとは中に灰と小さな炭を入れて、本来は煙草の火種の器です。
灰の表面に細かい筋を入れて体裁を整えて使います。
特に茶道では莨盆の中に入れ、茶会では正客のすぐ近くに置かれますので
脇役ではありますが、よく目につき鑑賞の対象となりますので
重要な道具の一つです。
火入れの大きさは、莨盆の大きさや高さなどに左右されますので
バランスよく組み合わせることが必要となります。
膳所焼(ぜぜやき)とは、滋賀県大津市にて焼かれる陶器で
寛永年間に膳所藩主石川忠総が茶人小堀遠州を招き
その指導を得て作陶させたといわれています。
茶陶として名高く、遠州七窯の一つで素朴でありながら繊細な作風は
小堀遠州が掲げた「きれいさび」が息づいています。
この火入れは大ぶりで径が大きく、どっしりとして安定しています。
形は寸胴で口径は緩やかに開いており、灰型をつけたり
炭を入れやすく使いやすくなっています。
外側に染付で松竹梅が描かれていて、縁起がいい絵柄になっています。
内側の底面は無釉となっており、高台の作りも特徴となっています。
素朴な風合いは飽きが来にくく、永くお使い頂ける逸品といえます。