越前塗から木製の天目茶台(抹茶碗用)のご紹介です。
この天目茶台は「尼崎台」(あまがさきだい)といわれるものです。
「尼崎台」は唐物の天目台で七台(数台)と並び称されました。
地付の内側にムカデ状の印が手描きされているので、「むかで台」あるいは
「印台」とも言われています。
津田宗久の祖父である 天王寺屋宗柏が七台の姿を写して
渡唐の紫野道堪に二十台の調達を依頼したところ、
道堪は十台をもって摂津国の尼崎に帰朝しました。
その中の一台は船中に忘れ、九台が日本に伝承したと言われています。
この天目台はそれを写して作られたもので、内側にムカデのような柄も
手描きされており、また茶碗をのせる部分と外側の周囲に銀渕が施されています。
元来、天目台は天目茶碗と共に使われ、仏前に供えられたり、高貴な方への
呈茶に使われ、荘厳感や謹啓の意を表わしています。