讃岐塗から、木製の飯器のご紹介です。
この品は栃(とち)の木をくり抜いて作った素地に天然のうるしを摺り込み、
幾度も塗り重ねて仕上げたものです。
くり抜きの為、曲げものや、張り合わせのもの と違い抜群の耐久性があります。
昔から先人たちが使ってきた飯器は、ご飯を炊いた後に
ご飯茶碗に移すまで一時的にご飯を入れておく器です。
そこには、実はご飯を美味しく頂ける秘密があります。
現代ではご飯を炊いた後、炊飯器に入れたまま保温にしたりしています。
そうするとご飯がカリカリになってしまったり
逆に水分が出過ぎてべちゃべちゃになったりと
折角のご飯の味が台無しになってしまいます。
しかし木製の飯器は水分の調整をしてくれます。
水分が多すぎれば、木が余分な水分を吸収し
逆に乾燥し過ぎれば、木から水分を放出して
中のご飯の水分量の調整をしてくれます。
ですから、常にご飯を最適な水分量に保つこと
が出来、結果としてご飯が美味しく頂けるわけです。
また、うるしが塗られているので、天然の抗菌作用があり
中のご飯を新鮮に保つ事が出来ます。
雑菌の繁殖を防ぐので、ご飯は常に美味しい状態に保たれることになります。
「冷めても、ご飯がおいしい」と感じるのは決して気のせいではなく、
科学的に証明される理由があるんです。
先人たちが、それを知っていたかどうかは分かりませんが
炊飯器も電子レンジも冷蔵庫もなかった時代に
より美味しくご飯を頂くすべを知っていたということになります。
水分調整機能と、抗菌作用を併せ持つ器は、
先人たちが残してくれた貴重な宝物であると言えます。
内側は洗いやすく、ご飯をよそい易いよう、平面的にきれいに
仕上げられていますが、外側は木製の温かみを出すために
ノミ彫りの後を残して亀甲彫りになっています。
一ノミ、一ノミ、職人さんに彫られていて、想像よりはるかに
手間と労力、技術が注ぎ込まれ ていることが分かります。
今述べたあらゆるものが、凝縮されたこの飯器は本当にお勧めの一品です。
約1人分の容量があります。