八代 川崎和楽 作の黒楽茶碗のご紹介です。
楽焼は帰化人 飴屋(楽家初代 長次郎の父)が創始したものとされ
田中宗慶が豊臣秀吉から「楽」の金印を拝領したことから
楽焼の称がおこったとされています。
楽焼は茶道の盛行に伴い出現した日本独自の産物であり
質・形・色などその特徴はすべて茶の湯の精神に合致しています。
楽焼には主に赤楽と黒楽があり、黒楽は古くから賀茂川石を用いられています。
黒色不透明の釉薬をかけ、小形の窯に鞴(ふいご)(燃焼を促進するために空気を送る道具)
を取り付けて、炭火で焼き赤く焼けたものを柄鋏で取り出し、すぐに湯に浸します。
黒釉のさえた色調と楽焼独特のやわらかい感じは、この湯に浸すことによって生じます。
黒楽は千利休が好んだとされています。
この楽茶碗の大きさはちょうど両手におさまる標準的なサイズとなっています。
生地は全体的に薄く、軽く作られており、作陶の技術が高いことが分かります。
高台から上は尻張りとなっており、胴の中央部分は削がれてくびれています。
胴の上は一旦盛り上がり、口の部分は内側に入っています。
口の部分は多少変形させてあり、手作り感が出ています。
手に持つとしっくりと手に馴染んで、一体感を感じる逸品です。