清水焼から赤鬼の特大湯呑のご紹介です。
「鬼は外、福は内」と2月の節分などに豆まきなどをして悪者になっている鬼を
あえて湯のみの正面に描いた珍しい湯呑です。
想像上の存在ではありますが、人から恐れられ嫌われ役の鬼を
主役にして作られた面白い湯呑です。
白土をろくろで挽き、赤鬼を「一珍」(いっちん)という技法で描いてあります。
「一珍」とはチューブ状の袋の中に泥釉を入れ、それを押し出して
線の文様を描くもので、高く盛った線が特徴となっています。
一珍は凹凸が柄の輪郭と立体的になっており、触っただけでも分かる技法です。
輪郭の内側は体の色の赤や髪の毛の黒で塗られており、手描きならではの
迫力が伝わってきます。
鬼の表情は怖さは全くなく、むしろ大人しく感じます。
品名は吉祥赤鬼とあるので、「めでたい鬼」ということで
作家の意図は縁起がいい鬼ということになるのかもしれません。
寿司湯呑のように、大きな湯呑でたっぷりとお茶が入れられるので
お茶好きにはたまらない逸品となっています。