真葛香斎 作の「オランダ」(和蘭)の蓋置のご紹介です。
蓋置とは茶道で使う釜の蓋をのせる道具です。
柄杓を引くのにも用いますが、単に道具というものではなく
茶会のテーマや季節ごとに形や材質、柄などを合わせて使うため、
その種類は膨大なものになります。
小さい道具ではありますが、非常に目立つなくてはならない存在です。
「オランダ」(和蘭)とは、元々は江戸時代にオランダ船によって
日本にもたらされた陶磁器の総称で「紅毛」(おらんだ)とも称されます。
この蓋置のように白磁に藍色、黄色、緑色などの色で描かれ
絵筆が生き生きとしています。
釉薬は軟質で、ヨーロッパの洋風の雰囲気が感じられます。
そうした雰囲気の蓋置を真葛香斎が独自のアレンジを加えて再現しています。
蓋置の上端と下端は藍色の絵付けが白地に映えています。
そのすぐ上下には黄釉のラインが一周して引かれ、
中央は緑の釉薬を使って、波紋と思われる絵柄を一珍の技法を使い
釉薬を盛り上げて塗られています。
絵柄が浮き上がっていて、立体的に見えます。
ひと目見てすぐにオランダと分かるさわやかで、すがすがしさを感じる逸品です。