小坂修斎 作 一閑塗の莨盆(たばこぼん)のご紹介です。
莨盆とは茶道で使う、煙管(キセル)や火入れ、莨入れ、灰吹きなどを
入れる入れ物で、正客の場所に置いておくのが通例となっています。
一閑張(いっかんばり)とは、漆工芸の一種で、木型を使って和紙を
うるしや糊で張り重ねたものを、器胎とした漆器をいいます。
大変軽くて変形しづらく、ざんぐりした味わいがあります。
飛来一閑(ひらいいっかん)が創始したことから、こう呼ばれるようになりました。
千利休の孫、千家の第三世の千宗旦が好んだ漆技法で、好みものを作ったり
よく使うことが多かったようです。
また木地に紙を貼り重ねて漆塗をしたものも、一閑張と称しています。
棗や香合、食籠、棚物などはこの方法で作られています。
この莨盆は持ち手は竹製で、本体は大きく見ると円形ですが
よく見ると数多くの角が付けられており、内側は全くの無地で
外側には横方向に筋がいくつも入っていて、大変な手間がかけられています。
裏側には角型の短い脚が4つ付いており、安定性もあります。
形は寸胴型で黒一色の正に侘茶を完成させた宗旦が好む
シンプルで飽きの来ないデザインとなっています。
今から400年前に考案された、宗旦好みの莨盆です。